第一枠(12:55-13:25)
[第1室 修士論文]
日本語母語英語学習者の文章読解における補償行動と理解度の関係
原田 結以(名古屋大学大学院)
英語母語話者を対象とした補償解読理論は,読解における低次処理の効率性(語彙アクセス処理の効率性と作業記憶容量)と文章理解度の関係は,制限時間の有無で変化すると主張している。制限時間のない読解条件では,低次処理の効率性が低い読み手でも補償行動(戻り読み等)をとることで十分な文章理解度を得ることができるためである。また,中国語母語英語学習者を対象としたHan(2014)も,以上の主張を支持している。本研究は,以上の研究結果をより一般化するために,日本語母語英語学習者を対象として補償解読理論の検証を行った。その結果,補償解読理論は支持されなかった。読解時の発話プロトコルデータには補償行動の使用が見られたが,相関分析と単回帰分析の結果を考慮すると,補償行動をとっても,低次処理が非効率的だと文章理解度も低い傾向があると考えられる。また,英語習熟度要因の媒介によって,低次処理効率性と文章理解度との関係は変化すると示唆された。
[第2室 卒業論文]
Analyzing English Tests for Practical Suggestions from the Point of Reliability and Validity
Ayaka KUME(Nara University of Education)
In English education in Japan, students are required to take a number of tests to measure their knowledge and language ability. Thus creating effective tests that can measure student’s English ability accurately is essential. However, it seems that there are a number of tests which may not be based on the theory of language testing and do not measure students’ ability accurately mainly because of issue of low validity and reliability. In this paper, I analyzed proficiency tests (e.g., entrance examinations) and achievement tests (e.g., regularly scheduled tests in private junior high school). The results showed that many of the tests had low reliability because of illegible English sentences, ambiguous instructions and dependent questions and that there were a number of tests with low validity because they did not directly measure students’ English ability. In the presentation, I will show some of the results and analyses from the paper.
[第3室 卒業論文]
小学校外国語活動におけるフォーカス・オン・フォームを取り入れたCLIL実践授業
宮沢 浩介(大阪教育大学)
本実践研究の目的は、(1)児童の外国語活動における文構造の気づきがどの程度みられるのか。(2)FonFを取り入れたCLIL(内容言語統合型学習)の授業の在り方やその効果についてである。そこで、意味中心の授業で繰り返しのあるインプットを聞かせて文のパターンに気づかせていくフォーカス・オン・フォーム(FonF)の指導をもちいる。内容は小学校5年生(N=29)の興味に合った「昆虫とすみか」を題材として、“Where is an ant?”“It’s under the ground.”(FonF)”のやり取りのある絵本の読み聞かせやクイズを行った。また自分の知っている昆虫の絵を描きどこに住んでいるか考え、風景の中に置く活動をした(Cognition)。また、ファーブル昆虫記の絵本『オトシブミ』を再話し話の順番に絵を並べる活動を行った(ディクトグロス)。前置詞という文法には触れなかったが、わかったことを日本語で書く場面メモでは正答率が0.59で、場面並べでは正答率が0.72で、児童はある程度、言語形式、意味内容、言語機能(場面とのつながり)を掴んでいると考えられる。班活動にしたことによって、児童は意欲的に取り組んだ。フォーカス・オン・フォームとCLILを教師が上手く繋ぐことで、気づきがおこりやすい授業になるのではないだろうか。
[第1室 修士論文]
日本語母語英語学習者の文章読解における補償行動と理解度の関係
原田 結以(名古屋大学大学院)
英語母語話者を対象とした補償解読理論は,読解における低次処理の効率性(語彙アクセス処理の効率性と作業記憶容量)と文章理解度の関係は,制限時間の有無で変化すると主張している。制限時間のない読解条件では,低次処理の効率性が低い読み手でも補償行動(戻り読み等)をとることで十分な文章理解度を得ることができるためである。また,中国語母語英語学習者を対象としたHan(2014)も,以上の主張を支持している。本研究は,以上の研究結果をより一般化するために,日本語母語英語学習者を対象として補償解読理論の検証を行った。その結果,補償解読理論は支持されなかった。読解時の発話プロトコルデータには補償行動の使用が見られたが,相関分析と単回帰分析の結果を考慮すると,補償行動をとっても,低次処理が非効率的だと文章理解度も低い傾向があると考えられる。また,英語習熟度要因の媒介によって,低次処理効率性と文章理解度との関係は変化すると示唆された。
[第2室 卒業論文]
Analyzing English Tests for Practical Suggestions from the Point of Reliability and Validity
Ayaka KUME(Nara University of Education)
In English education in Japan, students are required to take a number of tests to measure their knowledge and language ability. Thus creating effective tests that can measure student’s English ability accurately is essential. However, it seems that there are a number of tests which may not be based on the theory of language testing and do not measure students’ ability accurately mainly because of issue of low validity and reliability. In this paper, I analyzed proficiency tests (e.g., entrance examinations) and achievement tests (e.g., regularly scheduled tests in private junior high school). The results showed that many of the tests had low reliability because of illegible English sentences, ambiguous instructions and dependent questions and that there were a number of tests with low validity because they did not directly measure students’ English ability. In the presentation, I will show some of the results and analyses from the paper.
[第3室 卒業論文]
小学校外国語活動におけるフォーカス・オン・フォームを取り入れたCLIL実践授業
宮沢 浩介(大阪教育大学)
本実践研究の目的は、(1)児童の外国語活動における文構造の気づきがどの程度みられるのか。(2)FonFを取り入れたCLIL(内容言語統合型学習)の授業の在り方やその効果についてである。そこで、意味中心の授業で繰り返しのあるインプットを聞かせて文のパターンに気づかせていくフォーカス・オン・フォーム(FonF)の指導をもちいる。内容は小学校5年生(N=29)の興味に合った「昆虫とすみか」を題材として、“Where is an ant?”“It’s under the ground.”(FonF)”のやり取りのある絵本の読み聞かせやクイズを行った。また自分の知っている昆虫の絵を描きどこに住んでいるか考え、風景の中に置く活動をした(Cognition)。また、ファーブル昆虫記の絵本『オトシブミ』を再話し話の順番に絵を並べる活動を行った(ディクトグロス)。前置詞という文法には触れなかったが、わかったことを日本語で書く場面メモでは正答率が0.59で、場面並べでは正答率が0.72で、児童はある程度、言語形式、意味内容、言語機能(場面とのつながり)を掴んでいると考えられる。班活動にしたことによって、児童は意欲的に取り組んだ。フォーカス・オン・フォームとCLILを教師が上手く繋ぐことで、気づきがおこりやすい授業になるのではないだろうか。
第二枠(13:30-14:00)
[第1室 修士論文]
読み手の認知活動とテキスト理解度の関係: 読解における質問の種類に焦点を当てて
原 和久(名古屋大学大学院)
文章の読解時,読み手の頭の中では語彙認知や統語解析,推論生成などの様々な認知活動が行われている。これらの認知活動 を促すことでテキスト理解度を高める方法のひとつに,読み手に質問を課すことが挙げられる。先行研究では,読解時に質問を課された読み手は,質問を課されなかった読み手よりもテキスト理解度が向上するとされている。しかし,実際にテキスト理解度を高めているのは質問自体の有無ではなく,その質問に回答する際に読み手が行う認知活動であると考えられる。本研究では,読解時に読み手が質問に回答することで行われる認知活動と読み手のテキスト理解度の関係を明らかにすることを試みた。読解中の質問回答時に思考発話法を,質問回答後にテキスト内容の即時想起を実施したところ,質問の有無によってテキスト理解度の向上は見られなかったものの,質問の種類が読み手の特定の認知活動を促すことが示唆された。
[第2室 卒業論文]
小学校外国語におけるESD教育の実践
田中 篤史(大阪教育大学)
本研究の目的は、一つ目,小学校外国語活動においてESD教育を取り入れた授業実践を「水」をテーマに行うこと,二つ目,ESD教育を取り入れた授業をとおして, 児童が「水」の大切さや, 世界の他の国「水」について知ることで、現代社会の課題を自らの問題と捉えられるかについてである。 方法としては,高学年の発達段階に合った教材作りと模擬授業の実践,自身の授業分析及び授業後に協力いただいた学習者である児童のアンケート分析を行った。その結果、以下の成果を得ることができた。1点目に教科内容が学習者にとって興味深く、また価値のあるものであれば、積極的にその内容を理解しようとし、小学校高学年の主体的に学習する態度を育てることができること。2点目に英語学習に苦手意識を持つ児童に対しても、知的好奇心を刺激する情報を与えることができることである。
[第1室 修士論文]
読み手の認知活動とテキスト理解度の関係: 読解における質問の種類に焦点を当てて
原 和久(名古屋大学大学院)
文章の読解時,読み手の頭の中では語彙認知や統語解析,推論生成などの様々な認知活動が行われている。これらの認知活動 を促すことでテキスト理解度を高める方法のひとつに,読み手に質問を課すことが挙げられる。先行研究では,読解時に質問を課された読み手は,質問を課されなかった読み手よりもテキスト理解度が向上するとされている。しかし,実際にテキスト理解度を高めているのは質問自体の有無ではなく,その質問に回答する際に読み手が行う認知活動であると考えられる。本研究では,読解時に読み手が質問に回答することで行われる認知活動と読み手のテキスト理解度の関係を明らかにすることを試みた。読解中の質問回答時に思考発話法を,質問回答後にテキスト内容の即時想起を実施したところ,質問の有無によってテキスト理解度の向上は見られなかったものの,質問の種類が読み手の特定の認知活動を促すことが示唆された。
[第2室 卒業論文]
小学校外国語におけるESD教育の実践
田中 篤史(大阪教育大学)
本研究の目的は、一つ目,小学校外国語活動においてESD教育を取り入れた授業実践を「水」をテーマに行うこと,二つ目,ESD教育を取り入れた授業をとおして, 児童が「水」の大切さや, 世界の他の国「水」について知ることで、現代社会の課題を自らの問題と捉えられるかについてである。 方法としては,高学年の発達段階に合った教材作りと模擬授業の実践,自身の授業分析及び授業後に協力いただいた学習者である児童のアンケート分析を行った。その結果、以下の成果を得ることができた。1点目に教科内容が学習者にとって興味深く、また価値のあるものであれば、積極的にその内容を理解しようとし、小学校高学年の主体的に学習する態度を育てることができること。2点目に英語学習に苦手意識を持つ児童に対しても、知的好奇心を刺激する情報を与えることができることである。
第三枠(14:05-14:35)
[第2室 卒業論文]
語彙学習におけるフィードバック有りの多肢注釈の効果
木下 愛里(信州大学)
本研究は注釈を用いた不随意的語彙学習におけるフィードバック有りの多肢注釈の効果を検証することを目的とする。参加者の大学生 32 名が,先行研究に基づき,単一注釈(S)群,多肢注釈(MC)群,多肢注釈フィードバック有(MCF)群に分けられた。条件毎の注釈付テキストを読んで読解問題を解き,正答を確認しつつテキストを再読した。MCF 群には正答とともに注釈の正しい意味が与えられた。対象語 10 語の認識と意味理解を測るために Vocabulary Knowledge Scale が用いられた。主な結果は次の通りである。認識は MCF, S, MC の順,意味理解は S, MCF, MC の順に成績が良かったが,3 群間に有意差は見られなかった。知識のない状態から学習が有意に促進されたかを各群 1 群の t 検定にかけ見たところ,S 群とMCF 群ではテストの平均値が 0 点より有意に高かった。以上のことから,単一注釈とフィードバック有りの多肢注釈は学習を促進するが,選択肢の有無による学習効果の差異はないことが示唆された。
[第3室 卒業論文]
日本の文化への気づきを深める小学校外国語活動とは―観光内容のCBI(Content-based Instruction)の指導をもちいた授業実践をとおして―
伊藤 アロン(大阪教育大学)
本実践研究の目的は,(1)観光内容を扱ったCBIの授業が, 学習者である子ども達にどのような影響を与えるのか,(2)観光内容のCBIの授業を通して, 児童が観光について,外国人観光客の立場から観てみることで自分が住む地域について新たな気づきを持ち,また,地域に愛着と誇りをもつきっかけを作ることができるのか,である。研究方法は,小学校で観光内容を扱った授業実践を行い, アンケート分析と授業ビデオの分析を行った。その結果,以下2点の結果を得た。①内容を重視した本授業によって,児童が積極的に授業に取り組み,大阪で人気の日本食についても知識として理解できた。 また,内容を重視した外国語活動でも,十分に言語活動としての成果を得られた。②大阪の観光に対する新しい見方を持つ姿勢を,CBIの授業を通して確認したことである。
第四枠(14:50-15:20)
[第1室 修士論文]
日本人EFL学習者のサマリーライティング能力とライティング能力の関係性
佐野 晃子(上越教育大学大学院)
現行の高等学校学習指導要領解説外国語編(文部科学省, 2010)では、読むことを中心とした活動において、「説明や物語などを読んで、情報や考えなどを理解したり、概要や要点をとらえたりする」という記述があり、リーディングとライティングの統合的な授業の展開が示されている。そのような現状の中で近年、リーディングとライティングを統合した活動としてサマリーライティングが注目されてきている。本実験では、大学院生49名を対象にし、サマリーライティングを行うためにはライティング能力がどの程度必要なのかということを分析した。また、サマリーライティングのストラテジー使用について分析し、EFL学習者のサマリーの特徴を明らかにした。この点を明らかにすることで今後、EFL環境でサマリーライティング活動を行う際の示唆を得たい。
[第2室 卒業論文]
CLIL(内容言語統合型学習)の 授業実践における外国語活動の動機づけ
堀居 真帆(大阪教育大学)
本研究の目的は、(1)外国語活動において学習意欲を高める授業方法はどのようなものかを明らかにすること、(2)CLIL(内容言語統合型学習)を取り入れることで児童の動機づけを高めることが出来るかを明らかにすることである。まず, 算数の数や図形、諺のものの喩えを楽しむカルタを作成し、パワーポイントでクイズをしながら教師と児童のやりとりを行った。次に, グループでカルタを取ったり(Community)、自ら考えてカルタを創る場面を設定した(Cognition)。アンケート調査(4件法)とビデオ分析を行った。「授業が楽しかった」(4.00)「英語で形や諺がわかった」(3.4)等、学習意欲を高めることができた。動機づけには, 教師が見本を示す、できたことを称賛、言語に対する自信を高め、楽しくリラックスできる授業の雰囲気作りが大切であるといえる。英語の諺でもイラストや背景知識を生かして音声と意味を結びつけ、動機づけに繋げることができた。
[第3室 卒業論文]
Considering Effective Use of English Songs and Activities in Elementary Schools
Erika YAMAGUCHI(Nara University of Education)
Singing activities and other related activities have been used for elementary school students to learn English in English classes, called Foreign Language Activity classes in Japan (hereafter FLAC).Such activities are commonly used, and there are many advantages. However, they are not always well implemented in FLAC. In this presentation, I would like to discuss how to improve singing activities and other related activities for elementary school students, taking a close look at one lesson plan used in an elementary school in Japan. I mainly focuses on a relationship between a singing activity and a main activity of the teaching plan. I then revised the lesson plan and used it in an elementary school. I would like to discuss implication for future FLAC using singing activities based the revised teaching plan and the data from the class I taught.
[第1室 修士論文]
日本人EFL学習者のサマリーライティング能力とライティング能力の関係性
佐野 晃子(上越教育大学大学院)
現行の高等学校学習指導要領解説外国語編(文部科学省, 2010)では、読むことを中心とした活動において、「説明や物語などを読んで、情報や考えなどを理解したり、概要や要点をとらえたりする」という記述があり、リーディングとライティングの統合的な授業の展開が示されている。そのような現状の中で近年、リーディングとライティングを統合した活動としてサマリーライティングが注目されてきている。本実験では、大学院生49名を対象にし、サマリーライティングを行うためにはライティング能力がどの程度必要なのかということを分析した。また、サマリーライティングのストラテジー使用について分析し、EFL学習者のサマリーの特徴を明らかにした。この点を明らかにすることで今後、EFL環境でサマリーライティング活動を行う際の示唆を得たい。
[第2室 卒業論文]
CLIL(内容言語統合型学習)の 授業実践における外国語活動の動機づけ
堀居 真帆(大阪教育大学)
本研究の目的は、(1)外国語活動において学習意欲を高める授業方法はどのようなものかを明らかにすること、(2)CLIL(内容言語統合型学習)を取り入れることで児童の動機づけを高めることが出来るかを明らかにすることである。まず, 算数の数や図形、諺のものの喩えを楽しむカルタを作成し、パワーポイントでクイズをしながら教師と児童のやりとりを行った。次に, グループでカルタを取ったり(Community)、自ら考えてカルタを創る場面を設定した(Cognition)。アンケート調査(4件法)とビデオ分析を行った。「授業が楽しかった」(4.00)「英語で形や諺がわかった」(3.4)等、学習意欲を高めることができた。動機づけには, 教師が見本を示す、できたことを称賛、言語に対する自信を高め、楽しくリラックスできる授業の雰囲気作りが大切であるといえる。英語の諺でもイラストや背景知識を生かして音声と意味を結びつけ、動機づけに繋げることができた。
[第3室 卒業論文]
Considering Effective Use of English Songs and Activities in Elementary Schools
Erika YAMAGUCHI(Nara University of Education)
Singing activities and other related activities have been used for elementary school students to learn English in English classes, called Foreign Language Activity classes in Japan (hereafter FLAC).Such activities are commonly used, and there are many advantages. However, they are not always well implemented in FLAC. In this presentation, I would like to discuss how to improve singing activities and other related activities for elementary school students, taking a close look at one lesson plan used in an elementary school in Japan. I mainly focuses on a relationship between a singing activity and a main activity of the teaching plan. I then revised the lesson plan and used it in an elementary school. I would like to discuss implication for future FLAC using singing activities based the revised teaching plan and the data from the class I taught.
第五枠(15:25-15:55)
[第1室 修士論文]
The Acquisition of Wh-Questions by Japanese Learners of English
Shuhei OGAWA(Graduate School, Shizuoka University)
By selecting sixteen different types of wh-questions in English, the author attempted to clarify which structures were difficult or easy for Japanese learners of English (JLEs) to understand properly. Another purpose was to examine the relationship between the difficulty order obtained from the study and the number of times these structures appeared in junior high school textbooks. The author assumed that wh-question structures which appeared frequently in the textbooks were easier for JLEs to acquire than those which appeared infrequently. The research results indicate that there is no significant relation between difficulty orders of wh-questions and the number of times they appear in the English textbooks. Moreover, the result show that subject wh-questions (both who and what) are more difficult for JLEs than any other wh-question. In particular, the subject what-question is the most difficult. The author finally claims that the results can be "learning indicators" for JLEs.
[第3室 卒業論文]
Pragmatic Errors in Writing English by Japanese Learners
伊藤 優希(三重大学)
本論文では,ライティングにおける日本人の誤りの分析を行った。これから高校教育において,今まで以上にライティングが重要視されてくる中で,日本人が英語らしい英語を書くのを妨げる要因が何かに着目し,語用論的誤りの観点から考えた。日本語と英語の構造の違いが,日本人の高校生の英作文における多くの誤りを引き起こす。Chapter 1では,日本語と英語の違いが日本人の誤りにどのように影響しているかを主語,述語,文の発展性の3つのカテゴリーに分類して見ていく。Chapter 2では,書き手の意図を正確に読み手に伝えることを妨げる誤りについて語用論の観点から考える。Chapter 3では,日本人による語用論的転移の起こりやすい誤りの原因を分析する。Chapter 1で挙げた日本人の誤りの特徴を用いて,原因ごとに分類し,どのような語用論的誤りが読み手の正しい解釈を妨げるのかを明らかにする。
[第1室 修士論文]
The Acquisition of Wh-Questions by Japanese Learners of English
Shuhei OGAWA(Graduate School, Shizuoka University)
By selecting sixteen different types of wh-questions in English, the author attempted to clarify which structures were difficult or easy for Japanese learners of English (JLEs) to understand properly. Another purpose was to examine the relationship between the difficulty order obtained from the study and the number of times these structures appeared in junior high school textbooks. The author assumed that wh-question structures which appeared frequently in the textbooks were easier for JLEs to acquire than those which appeared infrequently. The research results indicate that there is no significant relation between difficulty orders of wh-questions and the number of times they appear in the English textbooks. Moreover, the result show that subject wh-questions (both who and what) are more difficult for JLEs than any other wh-question. In particular, the subject what-question is the most difficult. The author finally claims that the results can be "learning indicators" for JLEs.
[第3室 卒業論文]
Pragmatic Errors in Writing English by Japanese Learners
伊藤 優希(三重大学)
本論文では,ライティングにおける日本人の誤りの分析を行った。これから高校教育において,今まで以上にライティングが重要視されてくる中で,日本人が英語らしい英語を書くのを妨げる要因が何かに着目し,語用論的誤りの観点から考えた。日本語と英語の構造の違いが,日本人の高校生の英作文における多くの誤りを引き起こす。Chapter 1では,日本語と英語の違いが日本人の誤りにどのように影響しているかを主語,述語,文の発展性の3つのカテゴリーに分類して見ていく。Chapter 2では,書き手の意図を正確に読み手に伝えることを妨げる誤りについて語用論の観点から考える。Chapter 3では,日本人による語用論的転移の起こりやすい誤りの原因を分析する。Chapter 1で挙げた日本人の誤りの特徴を用いて,原因ごとに分類し,どのような語用論的誤りが読み手の正しい解釈を妨げるのかを明らかにする。
第六枠(16:00-16:30)
[第1室 修士論文]
初級レベルの日本人英語学習者(高校生)の抱えるリスニング課題と授業における効果的な解決方法の検証
長岡 久美(三重大学大学院)
本研究の目的は,英語学習において初級レベルの日本人高校生が抱えるリスニングのボトムアップ処理に関する課題とその解決策としての授業での指導方法の検証である。3つの実験とその結果を提示する。①ボトムアップ処理では,言語知識(語彙,文法,音韻)とこの知識を自動的に使う力が必要である。この知識とそれを使う力の関係を調べるために,英語の発話速度の相違による聴解の違いを調べた。遅い速度の長い発話文聴解では被験者の理解度が高まった。②英語の音韻理解の難しさの程度を調べるために,英文聴解において,日本語のモーラのリズムと英語のリズムそれぞれを取り入れた英語発話の理解を比較した。結果として被験者の理解に有意な相違はなかった。③高校の授業における音韻知識獲得を目指すリスニング練習の効果を検証した。学習者のワーキングメモリの負担軽減と英語のリズムに関する明示的知識学習の視点を取り入れた教科書の既習英文の10分間リスニング練習は,事前事後テストにおいて有意な差を示した。今後は,長期的な視点での練習方法の検証が求められる。
[第2室 卒業論文]
小学生の英語学習における文字認識に関する研究
尾関朝香(岐阜大学)
次期学習指導要領では,小学校5,6年生の外国語活動を教科化し,文字の読み・書きを導入することが予定されている。これにあたり,小学校高学年児童が文字をどのように認識しているのかを研究することには意義がある。本研究では,小学校の英語の掲示物を用いたアンケートクイズを実施し,小学校5,6年生の文字認識について(1)子ども達にとって認識されやすい英語の掲示物はどんなものか,(2)子ども達は英語の文字をどのように見ているか,(3)子ども達の英語の文字認識のあり方に影響を与えるものは何か,の3つの観点から分析と考察を行った。本研究では2校の小学校を調査対象としており,そのうち1校では昨年度も同様の調査が行われているため,同じ集団の2年間のデータを追うことができた。発表では,学年(年齢や発達)による違い,英語学習の量による違い,学校の特色による違いなど様々な視点から考察を行った結果をまとめる。
[第1室 修士論文]
初級レベルの日本人英語学習者(高校生)の抱えるリスニング課題と授業における効果的な解決方法の検証
長岡 久美(三重大学大学院)
本研究の目的は,英語学習において初級レベルの日本人高校生が抱えるリスニングのボトムアップ処理に関する課題とその解決策としての授業での指導方法の検証である。3つの実験とその結果を提示する。①ボトムアップ処理では,言語知識(語彙,文法,音韻)とこの知識を自動的に使う力が必要である。この知識とそれを使う力の関係を調べるために,英語の発話速度の相違による聴解の違いを調べた。遅い速度の長い発話文聴解では被験者の理解度が高まった。②英語の音韻理解の難しさの程度を調べるために,英文聴解において,日本語のモーラのリズムと英語のリズムそれぞれを取り入れた英語発話の理解を比較した。結果として被験者の理解に有意な相違はなかった。③高校の授業における音韻知識獲得を目指すリスニング練習の効果を検証した。学習者のワーキングメモリの負担軽減と英語のリズムに関する明示的知識学習の視点を取り入れた教科書の既習英文の10分間リスニング練習は,事前事後テストにおいて有意な差を示した。今後は,長期的な視点での練習方法の検証が求められる。
[第2室 卒業論文]
小学生の英語学習における文字認識に関する研究
尾関朝香(岐阜大学)
次期学習指導要領では,小学校5,6年生の外国語活動を教科化し,文字の読み・書きを導入することが予定されている。これにあたり,小学校高学年児童が文字をどのように認識しているのかを研究することには意義がある。本研究では,小学校の英語の掲示物を用いたアンケートクイズを実施し,小学校5,6年生の文字認識について(1)子ども達にとって認識されやすい英語の掲示物はどんなものか,(2)子ども達は英語の文字をどのように見ているか,(3)子ども達の英語の文字認識のあり方に影響を与えるものは何か,の3つの観点から分析と考察を行った。本研究では2校の小学校を調査対象としており,そのうち1校では昨年度も同様の調査が行われているため,同じ集団の2年間のデータを追うことができた。発表では,学年(年齢や発達)による違い,英語学習の量による違い,学校の特色による違いなど様々な視点から考察を行った結果をまとめる。